

先日、青森地方で地震があった。
地震があったと聞くと、身体の奥底がざわつく。
私の経験したのは、阪神・淡路大震災だ。
箕面に住んでいて、震度は5強から6と言われた。
あの日の恐ろしさは、今でも身体に沁みついている。
東日本大震災は、津波の恐ろしさを
映像を通してまざまざと見せつけられた。
遠い町の出来事でありながら、
まるで自分の身に起こったかのような、恐怖を感じた。
先日、介護事業所の更新手続きをした。
この5年間に就職した職員に、資格証を持ってきてもらった。
その中の一人が、東北の出身者だった。
彼女が「ちょっと汚くて」と差し出したのは、
あちこちに傷のついた資格証入れだった。
中から、そっと出してきたのは、
しわがより、でこぼこになった「介護福祉士登録証」だった。
「津波の時に家が流されて、
本当に何も残らないと思ってたんです。
でも、自衛隊の方が写真や証明書を集めて干してくれていて、
それを見た、名前を知っている誰かが、
見つけて、実家に届けてくれたんです」
そう語る彼女の手の中で、
この登録証は、あの津波の中を漂い、
自衛隊の人に救いだされたのだと思った。
遠くで起きた震災が、一瞬で自分のすぐそばに引き寄せられた。
「生きててよかったね」
「すごいね~。戻ってきたんや」
そう言いながら、
涙がこぼれそうになるのを、ぐっとこらえた。
たった一枚の紙が、
これほど強い衝撃を与えるとは思わなかった。
手に取ることすらためらわれ、
思わず拝みたくなるような気持になった。
阪神淡路大震災で亡くなったのは、6434人。
東日本大震災では、15900人が亡くなり、2525人が行方不明となった。
何の罪もなく、理不尽に命を奪われた人たち。
生きるはずだった命が、むざむざと消えて行くのを、
私たちは見てきた。
だからこそ、
生きたかった25,000人の思いを忘れずに
生き続けるしかない。
一枚の奇跡のような登録証を手にして、
黙々と、誠実に働こうと心に誓った一日だった。
