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よっしいブログ   「死ぬことを教える」

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「死ぬことを教える」

 

私の母が自宅で余命を過ごしていた時、

私は母に最期の仕事をしてもらおうと考えた。

それは、孫たちに死ぬことを教えること。

 

孫は、7歳・5歳・4歳3名の5人。

例えば、駐車場などで走り出しそうになった時、

親たちは、「車に引かれたら死んじゃうから走らない!」と言う。

孫たちは、親の真剣さは分かるものの、死ぬことは分からない。

だから、死をしっかりと感じられる時間を作ろうと考えた。

 

人がどんなふうに弱って、死んだらどうなるのか。

死んだ人と過ごす時間を身近に感じて欲しかった。

死ぬともう動かないし、消えていなくなるんだと理解して欲しかったし、

死んだ人が焼かれて骨になる事実を見て欲しかった。

 

近くに住む孫たちには、亡くなる前の3日間、保育園の帰りに寄ってもらった。

1日目は、母の目も手も動き、騒ぐ孫たちに「うるさい」と言った。

2日目は、母は息苦しくて喘ぐだけで、孫たちは、こわごわ見ていた。

3日目は、時々首を振るだけの母の手を、みんな触って帰って行った。

 

亡くなって2晩、母は、家のベッドで化粧されピンクのブラウスを着た姿で微笑みながら横たわっていた。

母のかたわらに座る私を孫たちは、入れ替わり立ち替わり見に来ていた。

「もう、喋らない?」「(手が)冷たい」「寝てるだけ?」・・・

火葬の日、お棺に入った母に、子供と準備した花を手向けた。

孫たちは、初めは不安げだったが、「ありがとう」と言いながら花を入れた。

最後にお顔を触って、口々にありがとうと言っていた。

火葬場でお棺を見送ったときは、広いホールではしゃいでいたが、

お骨で出てきたときは、真ん丸な目で見つめていた。

4歳児たちは少し離れた所に集まっていた。

7歳5歳児は、真剣な顔でお骨を拾っていた。

 

心配性で口うるさいくて、ちょっと疎ましかったおばあちゃん。

いつ実家に行ってもそこに居るおばあちゃん。

いつ来てもいいように、沢山のアイスクリームを買ってくれていたおばあちゃん。

帰りにはお小遣いをくれたおばあちゃん。

確かに生きていたおばあちゃん。

 

人は、弱り、死んでいく。

私は、母が生きた証として、その姿を最後まで見せてくれと願い、叶えられた。

 

しばらくの間、孫たちは「死」をよく口にしていたらしい。

「ママは死なない?パパは死なない?」

泣き出すこともあったそうだ。

 

あれから2か月経った朝、

孫のひとりが言った言葉。

「もう、だれも死なない?」

 

お母さん、ありがとう。

生と死を孫たちに見せてくれて。

本当にありがとう。

 

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