よっしいブログ
「見当識って何?」
アルツハイマー型認知症の症状のひとつに見当識障害があると紹介した。
今回は、見当識って何?という所を深堀してみた。
見当識とは、(デジタル大辞泉による)自己の時間的、空間的、社会的位置を正しく認識する機能のこと。
砕いて言うと、現在の「時間」「場所」や、周囲の「人物」の顔・名前などを認識する能力のことだ。
私たちは、朝昼晩が分かり、自分なりのスケジュールに沿って生きている。
自分の家や行くべき職場・学校・お店が分かるので目的が達成できる。
家族・親族の関係が分かり、同僚や友人の顔を見て、名前を呼びコミュニケーションがとれる。
時間・場所・人物が分かるので、自分の生き方を選び自分らしく生きられる。
さて、認知症の人は、脳にいらんもんが溜まったり縮んだりして働かない部分がある。
見当識では、時間→場所→人物の順で忘れていく。
初対面の認知症の人には「ご家族は何人ですか?」と聞いてみる。
連れ合いや子供のことが分からない場合は、認知症が進んでいると考えられる。
見当識に障害が起きるどんな行動をとるか、並べてみた。
【時間】
・時間の感覚が薄れ、日付の感覚がなくなり、時間を読めなくなる
・昔のことを今のことのように話す
・真夜中に起きご飯を食べようとする、仕事に行こうとする
・暑い季節に真冬のような格好をする
・季節がわからず真夏に暖房を入れたり、冬に薄着で冷房をつける
・子どもはまだ幼いと思っているため大人になった子どもを見ても誰だかわからない
・予定に合わせて準備が出来なくなる
・長時間待てない
・今日は何日か、と何度も聞く
・夜中に電話をかけてくる
・夜中に出歩く
【場所】
・方向感覚が薄れ、通い慣れたスーパーや店までの道順が分からなくなる
・街並みを見てもどこにいるか分からない
・散歩に行ったきり帰ってこない
・家から遠く離れたところまで歩いて行く
・家の中で迷う、トイレや部屋の位置が分からなくなる
・自宅にいるのに「家に帰りたい」と言う
・歩いては行けない遠い所(故郷や会社)へ歩いて行こうとする
・トイレと間違って別の場所で排泄したり、トイレまで間に合わずもらす
【人物】
・人の顔を見ても判別できなくなり 娘を姉と間違える
・人の生死に関する記憶がなく、親や連れ合いの死んだことが理解できない
・自分の年齢が分からない
・人の名前が分からない
・親・兄弟・子などの関係性が分からない
・鏡に映る自分を自分だと分からず話しかける
・すでに亡くなっている親が心配していると言って、遠い(もうない)実家に歩いて帰ろうとする
・家族や友人をかたくなに知らないと言う
認知症の人がこれらの事をしたら、
つい、「何やってんのよ!違うでしょ!」と
言い聞かせて分からせたくなる。
だが、認知症の人には通用しない。追いつめて興奮させるのがおちだ。
時・場所・人が分からなくなった自分を想像してみようよ。不安だよね。
不安になっている人に安心してもらうためには、
①「怒らず、冷静に、やさしく」
②「失敗を責めない」
③「そばに居る」
この3つを中心に接していく。
でも、家族が、こんな対応を続けるのは難しい。
だから介護職の出番だ。
ご家族の皆様へ
ご利用者の認知症になるまでの話を、たくさん教えてください。
そうすれば、私たち介護職は、その人らしい出来事を探し、報告できます。
できない事よりできた事を伝え合い、
認知症の人が、その人らしく生きて行ける道を一緒に探して行きましょう。