よっしいブログ 「歩かせないで」ってどうよ

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「歩かせないで」ってどうよ

 

 

ヨロヨロ歩く。

ぼってとコケる。

 

こうなり始めると家族から「こけると骨折するので歩かせないで下さい」と言われる。

家族は、変な要望だとは思っていない。

 

人を歩かせない為に私たち介護職がすること。

①立とうとする所を見つけるたびに「座っててください」と声をかける。

②それでも立ち上がる人は、車いすに座ってもらい、テーブルにつけてブレーキをかける。

③動けないことを嫌がり、車いすを揺らしたり机を叩いたり大声を出したら、ドクターに頼み薬を処方してもらう。

 

①は、スピーチロック

②は、身体拘束

③は、ドラッグロック

全て虐待である。

 

2006年、介護施設は虐待を防止しなさいという法律ができた。

なぜ「高齢者虐待防止法」ができたのか。

それは、高齢者を収容する為に人権を無視した虐待を

虐待とも思わずに日常的に行ってきた歴史があったからだ。

 

先に挙げた3つを、みんなが虐待と理解できている事が大切で、

介護する側も家族も同様に理解できていないといけない。

 

「歩かせないようにして欲しい」

「うちでは虐待を行いません。ご要望にはお応えできません」

「だったら骨折してもいいのですか」

「人は、歩けばコケる。食べれば喉を詰める。薬を飲めば間違える。

そんなリスクだらけの生き物です。

こけないように努力はしますが、転倒するというリスクも含めて

お互いが協力し合い、ご本人を一緒に支えて行きませんか。

行動を制限することなく、言葉で押さえつけることなく、

ご本人の生きたいラストシーンを助けていきませんか」

 

介護現場と家族は、本人を支えるチームメンバーだ。

対等な関係で、本人の人生の最後を彩って行きたい。

 

吉村全永