よっしいブログ
「お父さんには悪いけど」
先日、元ご利用者の奥様に会った。
元ご利用者は、ロングショートを使い、1~2か月に1度自宅に戻る生活が続いている。
奥様は、自宅で一人で暮らし、ご主人の帰る日を待っている。
奥様からの一言。
「入所したら、悪いけどほっとする」
悪いけど・・・
大きな身体のご主人だった。
病気から手足に不自由なところがあり、
足取りは不安定だった。
少しずつ認知力も落ち、
生活のほとんどに手助けが必要だった。
奥様は小さい身体で、働きながら介護をしていたのを思い出す。
以前のブログ「死ぬ場所を決めるということ」でも書いたが、
死ぬまで家で暮らすという望みを叶えるには、
家族の介護力があるかどうかが、最終的な鍵を握る。
とうてい奥様一人では担いきれない。
それなのに、「悪い」と負い目を感じる。
悪いのは、施設入所か、
悪いのは、介護を続けられなかった自分か、
悪いのは、誰?
誰も悪くない。
介護は一人ではできない。
1人で出来ないから介護保険ができたんだ。
でも、介護保険で全てをすべてをまかなうことはできない。
だから「もう、無理」と言っていい。
夫婦、精一杯生きてきたのだから、在宅生活をこれ以上頑張れない時が来ても構わない。
介護保険には、施設介護が用意されている。
在宅生活が続けられない時には、選択できる次があるんだ。
だから、施設介護を選んだことは悪ではない。
連れ合いを施設に頼み、ひとりで生きることを選択した、あなたの人生を大切にして欲しい。
今まで、相談相手で心の支えになった人が、いなくなった。
連れ合いが選択してくれて安心だと頼って生きてきたのに、今は自分でなにもかも決めなくてはいけない。
昼は変わりなく生活しているのだけど、夜は淋しい。
そんなあなたが、「悪い」と思うことはない。
あなたのこれからの人生を大切にして欲しい。
あなたが、元気でいて、自分自身の人生を生きてくれることが、
連れ合いの方の幸せにつながる。
元気な姿で会いに行ってあげて。
いつでもあなたを思い描いて生きていますよと伝えてあげて。
夫婦だけで生きていくのは限界がある。
だからと言って、決して罪悪感を持たないで欲しい。
皆がそれぞれ幸せになる方法は、沢山あるのだ。
自分たちの選択は、間違ってはいない。
そう思うことを、応援します。