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よっしいブログ  「万博」

1970.9.1お昼過ぎ

「ウワーン!ギャワーン!」

泣いていたのは、小学校6年生の私である。

 

この年は、大阪で万博が開催されており、

テレビでも始まる前から宣伝されていた。

アメリカ館の月の石や、ソビエト館、太陽の塔に人間洗濯機、

子供ながらにわくわくする情報が前からたくさん流れていた。

毎日、どれ程の人が万博を訪れ、

どれ程楽しい夢のような世界が繰り広げられているか、

連日放送されていた。

 

1970.9.1 夏休みを終え登校すると、教室では、万博自慢が繰り広げられていた。

参加した国々のパビリオンの紹介を持つ同級生

全てのパビリオンのスタンプを押したスタンプ帳を見せる同級生

特に、アメリカ館とソビエト館に行った子供たちの興奮

何回行ったかの競争。

私は、一度も連れて行ってもらえなかった。

何も言わず、何も聞かず、一時をやり過ごした。

 

で、初めの大泣きになるのだ。

「私だけが、万博に行ってなかった」

「私だけが、、、、、一回も行ってなかった!」

 

大阪に住んでいて、親も連れて行こうと思わなかったのか。

今となると、残酷な奴らだと笑えるが、

おねだりなどしたことのない私が、とにかく泣いた。

親たちは、責任のなすりつけ合いをしていたが、

結局、お昼過ぎに父親が連れて行ってくれた。

たった2時間ほどの滞在だった。

 

私は、もう誰にも自慢できない万博に行ったのだ。

アメリカ館もソビエト館もいかず、

太陽の塔にも入らず、

ミクロネシアかインドネシアかも分からない小さな建物のいくつかに入り、

スタンプを押した。

 

屈辱の万博の思い出である。

父は死に、母も死んだ。

 

今年の万博は、二人に見せるために、何度も行きたいな。

そして、「私は大阪の万博を充分に楽しんだよ」と言う。

 

 

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