よっしいブログ
「デイに来るのは誰の希望?」
うちのデイは、平均介護度3.5で、中重度や認知症の人が多い。
利用者88名、お買物デイから来た18名を除いた70名は、全員介護が必要な方だ。
さて、その70名の中で、自分の希望でうちのデイを選んでくれた人は、一体何人いるだろう。
一般的な場合、「しっかり歩きたい」「元気でいたい」など本人の希望を聞き、
家族や本人がケアマネに相談する。
ケアマネは、本人の好みや希望に沿ったデイをいくつか選び、見学や体験してみる。
気に入ったデイで「ここへ行ってみる」と自分で選び、利用を始める。
でも、うちの場合、家族が「デイに行って欲しい」という希望からスタートする。
見学や体験に来たとき、本人は「家族が言うなら」と曖昧な感じで利用が始まる。
「嫌だ。行きたくない」という人はいるが、「ここがいい。行ってみたい」という人はいない。
自宅で暮らす介護の必要な高齢者は、
介護で家族に迷惑をかけたくないと思っている。
車イス生活になったりすると、毎日面倒を見てもらって申し訳ないと思っている。
ヘルパーさんの助けだけで暮らせなくなってくると、
お風呂やトイレのことで、これ以上迷惑かけたくないと思う。
誰だって、自分の家で自分のペースで暮らしたい。
だけど、自分で出来ないことが増えてくるので、少しずつ諦める。
トイレは、見知らぬ人に介助されたくない。
お風呂は、裸を知らぬ人(異性はもっと)に見られたくない。
ご飯だって、好きな物を好きな時に食べていたい。
でも、自分ではできない。
家族に迷惑がかかる。
だから自分の思いを諦めて、デイに来てくれる。
うちに来てくれる認知症のないご利用者は、
人生を一度、諦めた人だ。
認知症の人は、病気の精で自分らしく生きることが難しくなった人だ。
原因も分からず認知症になり、人生がままならなくなった人だ。
諦めきれずにデイに来てくれる。
だからこそ、うちのデイに来る人たちには、これ以上諦めて欲しくない。
ひとり一人の望みを聴き続けるし、
さりげなく側に居続ける。
望みが叶うように一緒に練習したり、工夫したりを続ける。
ずかずか生活や心をかき乱さないよう努力する。
それでも、いろんな理由で施設に入所していく。
仕方のない事だ。
でも、空ろな気持ちになる。
「ああ、またあの人は、大きな諦めを自分でしたんだ」と。
施設での暮らしが、デイよりもっと自分らしく過ごせる場所になってねと願う。
たくさん話をして、しっかり食べてねと願う。
自分でできることは自分でできる、あなたらしい人生を支えてもらってね、と願う。
もう、諦めなくていい人生を送って欲しいと、心底思う。