よっしいブログ
「注意ってなに?」
アルツハイマー型認知症の症状のひとつに注意障害があると紹介した。
今回は、注意って何?という所を深掘りしてみた。
注意とは(デジタル大辞泉による)、
1 気をつけること。気をくばること。
2 悪いことが起こらないように警戒すること。用心すること。
3 気をつけるように傍らから言うこと。忠告。
4 ある一つの対象を選択し、認知・明瞭化しようと意識を集中する心的活動。同時に、その他のものは抑制・排斥される。
とある。
私たちが普段使う「注意」は、1~3であることが多い。
だが、注意障害の「注意」は、4のことだ。
精選版日本国語大辞典では、
① あることに特に気をつけること。心をくばること。心理学では、対象のなかから、あるものを特に明瞭に認知しようとする努力をいう。
と、心理学の領域で用いると解説している。
砕いて言うと、たくさんの情報の中から必要なものを、意識して認識しようと集中する能力のことだ。
私たちは、日々多くの情報の中で生きている。
例えば、ご飯を食べる時にテレビがついているとしよう。
大好物が並んでいたら、「どれから食べようか」とか「おいしそうな匂いがするなあ」と
視覚や嗅覚を使って一口目を決め、口に入れたら味覚を使って味わう。
テレビの音は、聞こえてはいるだろうが意識には届かない。
食べ進めているとき、テレビから急に大事件の報道が始まったり、大好きな俳優さんが結婚したという報道が流れたら、一瞬で手が止まる。
注意が、食事からテレビに移る。
そして見終わると、また食事に戻ることができる。
私たちは、起きている間中、音・匂い・感触・目に入るもの・味などの五感からあふれるほど情報が入っているのに、自分に必要な情報だけに集中して選ぶことができる。
注意って、改めてすごい能力やなあ。
認知症の人は、脳にいらんもんが溜まったり縮んだりして働かない部分がある。
注意の能力に障害が出るとどうなるか。
(ソファーに座っていたのに周りの人が立ち歩くと、連られて立ち上がる)
(ご飯中にテレビが大音量でかかっていると、食事の手が止まり食事ができない)
(声をかけても気付かない)
(洗濯物を畳んだりの作業している途中で手がとまる)
(電話をしながらメモができない)
(レシピを見ながら料理ができない)
(作業中、気持ちがそれると元の作業に戻れない)
(ぼーっとしている)
(話についていけない)
(話をしている人と目が合わない)
集中できないと、日常生活で支障がでる。
繰り返し教えることで獲得できる能力なのだが、
脳が働かなくなった認知症の人には通じない。
私たちに出来ることは、
①集中しやすい環境にする
②気がそれるような刺激を減らす
③分かりやすい指示をする
④動作をやり遂げるまで、適宜確認し声をかける
出来ないことは、さりげなく適当な声掛けが大切だ。
「手が止まってる!早くして!」
「まだやってるの」
「聞いてるの」
は無駄な声掛け。注意しよう。