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「死ぬ場所を決めるということ」
90を超えた母が、癌になった。
余命宣告はなかったが、症状が出始めた時は、全身に癌が回っていて、
そのまま死に至るとのこと。
その時は、半年か1年なのかは定かにされなかったが、
未来が見えた瞬間だった。
ドクターは、「どこで最期を生きたいかという事です」と母に問うた。
母は、「家で逝きたいです」と答えた。
ドクターに私が告げた。「私は介護のプロなので、家で看れると思います」
本人が「家で最後まで生きたい」という望みは、なかなか叶えられない。
① 病と闘うためには、医療(医者と看護師)が必要で、看取りまで行ってくださる
ドクターと出逢わないといけない。
② 次に、介護サービスをどのように使って行くのかをコーディネートしてくださる
ケアマネと出逢わないといけない。
③ そして決定的なのは、家族に介護力があるかどうか。
弱っている人を見続け、食事やトイレを手伝い、痛い・しんどいという人に付き合い、
最後は赤ちゃんを育む様に付き添い、看病をする。
一人で担うと、くたびれ果て潰れてしまうので、家族ぐるみ(複数)で担う覚悟が必要になる。
医療と介護と家族が一つのチームになれて始めて『最後まで家で暮らす』ことが実現する。
自宅で最後まで暮らすというのは、当たり前のことなんだけど、
難しい。
母が自分を貫き、私が覚悟を持って向き合い、
人生の最後の時を家で暮らしてほしい、と今は願っている。
吉村全永