よっしいブログ
「記憶するってなに?」
アルツハイマー型認知症の症状のひとつに記憶障害があると紹介した。
今回は、記憶するって何?という所を深堀してみた。
自分も、記憶力が落ちたと感じている。
大好きな歌手の歌でも、若い頃は、2~3回歌うと覚えていたのに、
今は、何度聞いても覚えられない。
人の名前とカタカナ言葉、アルファベット3文字はお手上げだ。
さて、記憶するって何?
記憶するとは、
①記銘:情報を脳に入れることが出来るよう書き換えること
②保持:書き換えた情報を脳の引き出しに保管すること
③想起:脳の引き出しに入っている情報を必要に応じて思い出すこと
の3つが揃って機能している状態を言う。
「覚えられない」のは、①と②が出来ない状態。
インプットできなかったり、引き出しに入れられなかったり。
「覚えているけど思い出せない」のは、③が出来ない状態。
なにかきっかけがあれば思い出せそうだが、引き出せない。
学生時代は、試験などの目的があり、覚えることに必死だった。
体験も初めてのことが多く、引き出しにすんなりと入った。匂いも情景も。
小さな子供などは、記憶の引き出しが空いているので、なんでも覚える。
社会に出て生活に追われ始めると、日々の仕事や家事を、効率よく行うことにエネルギーを使うようになる。
覚えておくべきか否かの選択を素早く行うようになっていく。
生きるために必要のない事は、覚えようと思わなくなっていく。
年を取り、時間の余裕が出来たので、昔読みたかった本を読もうとか、音楽を聴こうと思う。
と、昔のようには頭に入ってこない事に驚く。
きっと記憶も練習を続けていないとスムーズに「記銘」「保持」「想起」が出来ないんだろうな。
人生100年時代だから、今からでもいろんな事に興味を持ち、情報をキャッチし、記憶する練習を楽しもうか。
認知症の人は、脳にいらんもんが溜まったり脳が縮んだりして、働かない部分がある。
その精で、今の状態や言われたことを、覚えるために書き換えることが出来ず、記銘できない。
脳の引き出し自体が壊れていて、保持できない。
脳のどの引き出しから取り出すか想起ができない。
三つとも出来ない場合もある。
壊れちゃった脳は戻らない。
同じことを繰り返し訴える(トイレに行く・帰る)のは、記銘・保持のできない人。
トイレに行きたくてウロウロしちゃうのは、トイレの場所を記銘・保持・想起できない人。
説明されて理解したのに、少ししたら同じ言動をするのは、保持・想起できない人。
「言ったら分かるでしょ」は、認知症の人には通用しない。
記憶できない自分を想像してみようよ。恐くないか。
恐い状態にいる人に安心してもらうには、
「分からなくてもいいんだよ」「失敗してもいいんだよ」と受け止める。
言葉で説明して理解させようとするのではなく、さりげなく答えを示す。
でも、これを家族が続けるのは難しい。
さあ、ここは、介護職の出番だ。