よっしいブログ

「認知症の世界」

 

認知症になった人の感じる世界は、どんな世界だろう。

よく言われるのは、「外国の空港でひとりで居る」世界。

 

ここはどこか・・・分からない。

行き過ぎる人は・・・知らない人ばかり。

何をしにきたのか・・・分からない。

話しかけてみても・・・言葉が分からない。

不安だから助けてくれと頼むが・・・相手にされない。

心細くて震えていると・・・人が集まってきて口々に分からないことを言う。

お腹がすいたので台の上のパンを食べたら・・・知らない人に腕をつかまれ怒鳴られた。

振り払い走ったら・・・追いかけられた。

また捕まりかけたので・・・止めてくれと叫んで相手を殴った。

誰も助けてくれない。誰も分かってくれない。

どうすればいいのか。分からない。

 

アルツハイマー型認知症の症状には、

・記憶障害（一般的な知識や意味の記憶、出来事全体の記憶の障害）

・見当識障害（時間・場所・人の認識の障害）

・実行機能障害（作業の手順、計画的に実行する能力の障害）

・注意障害（意識の集中力、多くの情報から必要なものを選ぶ力の障害）

・理解・判断力の障害（時計が読めても時間の感覚を理解できないなど）

・社会性の障害（周囲の人とうまく関係を保つ、感情をセーブする力など）

・失語（言葉がでない、言葉を忘れる）

・失行（運動機能は保たれているのにできない、服を着られなくなるなど）

・失認（視覚・聴覚・触覚などを使う認識ができなくなる、歪んで見えたり鏡の自分に話しかけるなど）

などがある。

 

症状は、1つずつ出る訳ではない。

幾つかが重なるし、出方の強弱もある。

だが、見ての通り、生活全般にできない事が現れてくる。

症状は、ゆっくり進む人もいるし、

行ったり戻ったりすることもあるし、早い人もいる。

症状を覚える必要はない。

出来なくなることが増えていく病気だと理解して欲しい。

できない事を繰り返し教えても、取り戻せることは少ないと思った方がいい。

できない事をどうにかしようと疲れてしまうより、

できる事を見つけて、してもらう方がいい。

 

認知症は、何もできなくなる怖い病気ではない。

できない事が増えちゃったけど、お父さん（お母さん）らしい部分はある。

困ったことをするけど、見知らぬ国の空港に行って苦しんでいるんだな。

不安で苦しくて仕方ないんだな、と思って、

いろんな人の力を借りて、できるとこまで、

家族として受け入れて欲しい。

 

デイサービスは、日中を支える。

ヘルパーは、家での生活を支える。

ショートステイは、疲れた夜を支える。

 

恐いことはない。

みんなの力を集めて、

その人らしく生きていける居場所探しを、一緒にして行こう。