よっしいブログ   「ゴールデンウイークの奈良公園」

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「ゴールデンウイークの奈良公園」

 

空海の生誕1250年を記念して、奈良国立博物館が総力を挙げた展覧会

空海 KŪKAI ―密教のルーツとマンダラ世界―

を見に行った。

 

久々に踏み入った奈良公園は、多くの人々で溢れていた。

「そうだ、ゴールデンウイークなんだ」

小学生の遠足の集団、外国人観光客、修学旅行生などが行き交っていた。

 

ぷんと匂うのは、鹿のふんの香り。

「ああ、奈良の匂いだ」と懐かしい思いがした。

 

鹿にせんべいをあげる外国人観光客の明るい笑顔と歓声があちこちで聞こえた。

喧噪の中、知らない外国語が多く混じっていて、

観光客が帰って来てくれたコロナ明けを実感する。

 

言葉は分からないけど、鹿に追いかけられて楽しんでいることは分かる。

笑顔は万国共通で、驚きや歓声も年齢をたがわず共通だ。

心にストレートに飛び込んでくる。

 

介護現場に外国籍の人々が働きに来ることが当たり前になってきている。

言葉の壁や習慣の違いを乗り越えて働きに来てくれる。

介護という人を相手にする現場に、外国籍の人は向かないというタブーは、もうない。

私はずっと、認知症の人の介護には合っていると思っていた。

 

我々日本人は、我慢強く真面目だが、同調傾向もある。

前回も述べたグレーゾーンを見て見ぬふりをしたり、

見て見ぬふりや、あおる人に言い返せない密な空間が、その施設の風土になったりする。

グレーが濃くなり、虐待につながるケースは多い。

 

コミュニケーションには言語と準言語(声のトーン・抑揚など)と非言語がある。

認知症の人は、言語・準言語でコミュニケーションが取れなことが多い。

言葉の意味や環境の理解が抜け落ちて行くから。

だが、言葉を発する人の表情や声の裏に隠れている感情を感じとる人は多い。

認知症の人は、非言語で多くのコミュニケーションをとっている。

外国籍の人が認知症介護に向いている理由は、言葉で言いくるめようとしないから。

言葉は拙いが、気持ちを伝えようと努力する。

そして、謙虚で頑張りがきき、笑顔が素敵だから。

 

私は、外国籍の人が働き続けられる現場作りが、虐待を減らしていける方法かもと思っている。

密で濃い事業所に外の風が入ってくるのは悪くない。

笑顔で言葉を掛け合えるチームが、ストレスのない良いチームだと思う。

 

そんなことを奈良公園で鹿から逃げる外国人観光客を見て考えていた。

ひょっとしたら、介護現場の救世主かもって。