

「隠れスティグマ」について
パーソン・センタード・ケアについて学ぶ機会があった。
パーソン・センタード・ケアとは、
認知症の人の、心理的ニーズを満たし、
一人の人として、周囲に受け入れられ、尊重されることを高める関わり・ケアのこと。
講師は、「隠れスティグマ」について話された。
スティグマとは社会的偏見や差別のことだが、
私たちの日々の声掛けに潜んでいないか?、ということ。
例えば、認知症の深い人がいて、
「この人に聞いても返事はないだろうな」(これが隠れスティグマ)
と思っているから、「お風呂にいきますね~」と声掛けをして移動する。
声掛けをしているから、人として尊重しているいいケアのように見えるが、
「その声掛けは、宣言になっていないか?」ということ。
こちらの都合を宣言していただけで、ご本人の気持ちを聴こうという姿勢がなかった、と気付くことが大事だと言われた。
気付いたのなら、これからは、
「お風呂の時間ですが、行きますか?」
選択肢を投げて、返事を待ってみよう。
(本人を決して輪から外さない、これが大事。)
返事が無かったら、「お返事が分からなかったです。すみませんが、私と一緒にお風呂へ行きましょうね」(たった5~10秒)
結果的には、こちらのペースで業務がこなされていくのだが、
ケアする者の心持ちが全く違う。
自分がパーソンセンタードなケアをしているかどうかが確認できる。
認知症の人たちは、聞こえているが返事ができない病状なのかもしれないし、
誰も聞いてくれることがなかったから、諦めて無言だったかもしれない。
例え返事がないとしても、人として「伺う」ということを省かない。
そのことの大切さを教えてもらった。
隠れスティグマは、いろいろな場面にある。
自分のケアを振り返るチャンスを頂いた。
慣れはパーソン・センタードなケアを簡単に忘れさせる。
無意識の隠れスティグマは、あっという間にチームに蔓延していく。
認知症の人の尊厳が損なわれる風土は、簡単に作られるのだ。
肝に銘じよう。