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「雨は蕭蕭(しょうしょう)と降っている」
日曜の午後、雨が降ってきた。
「雨は蕭蕭と降っている」――
三好達治の詩の一節が、ふと口をついた。
たった一週間前まで、あの灼熱の夏がつづいていたのに。
今は深い緑の山を背に、そぼ降る雨を眺めている。
そのうつろいの早さに、思わす声に出してしまったのだ。
ドラマ「ミステリと言うなかれ」で、
菅田将暉さんと柄本佑さんがこの詩を口にしていたので、覚えている人も多いかもしれない。
「雨の中に 馬がたってゐる
一頭二頭仔馬をまじへた馬の群れが 雨の中にたってゐる
雨は蕭蕭と降っている」
この詩は「大阿蘇」と言う作品である。(中略)
「もしも百年が この一瞬のあいだにたつたとしても 何の不思議もないだらう
雨が降ってゐる 雨が降ってゐる
雨は蕭蕭と降ってゐる」
と結ばれている。
空一面を覆う雨雲の下、
一心に草を食む馬の群れとともに、
その景色をただ見つめている達治。
時が止まっているのか、流れているのか――。
その曖昧さの中で、
雨はただ、蕭蕭と降り続けている
そこが、たまらなく好きだ。
自民党総裁が決まり、政治が大きく動き始める。
そんな”はざま”の日曜の午後,
静かに降るこの雨は、
どこか意味深で、そして愉快だ。